
シリコーンのディッピングにおいては、プロジェクトごとに独自の課題があり、それぞれ固有の解決策が求められます。トレルボルグ ヘルスケア&メディカルは、医療機器用のシリコーン ディッピングにおいて30年以上の経験があります。そしてその間、お客様の要望を満足する製品を生産すべく、特別なプロセスと専用の装置を開発し、その最適化に努めてきました。
シリコーン ディッピングは、大まかに2つのプロセスに分けられます。すなわち、ディップ成形(キャスティングとも呼ばれます)とディップコーティングです。
ディップ成形
ディップ成形は、高額な金属型が必要になることの多いシリコーン成形プロセスに代わる、コストパフォーマンスの高い選択肢です。このプロセスは、複雑で薄肉の形状作製や迅速な試作作製に利用できるだけでなく、量産へのスケール拡大も可能です。ディップ成形プロセスは、次のステップで構成されます。
- 製品の最終形状でマンドレルを製作します。マンドレルは金属から機械加工することが一般的ですが、エンジニアリングプラスチックやセラミックを用いることもできます。
- マンドレルをシリコーン分散液に浸漬させてから取り出します。これにより、マンドレルが薄い液状シリコーン膜でコーティングされます。浸漬(ディップ)の回数を変えるか、シリコーン分散液の固体濃度を調節すれば、パーツの壁の厚さも調整可能です。
- シリコーンでコーティングしたマンドレルをオーブンに入れ、シリコーンの加硫処理を行います。
- 加硫処理後にシリコーンゴムをマンドレルから分離すれば、最終製品の完成です。
トレルボルグ ヘルスケア&メディカルのエキスパートたちは、各パーツの高い品質と再現性を可能にする多くの変数を熟知しており、これら変数をコントロールする技術を持っています。さらに、マンドレルの表面仕上げの評価や、浸漬・取り出しの角度と速度、分散液の粘度と温度、製造時の周囲条件、加硫処理パラメーターなど、多岐にわたるプロセスバリデーションを行っています。
ディップコーティング
また、多様な医療用部品のシリコーンコーティングにおいても、ディッピングプロセスを活用することができます。金属、プラスチックなど多様な種類の医療用部品を薄いシリコーン膜でコーティングし、それから加硫処理を行うことで、なめらかで耐久性が高く生物適合性を有する仕上げを実現できます。針、カニューレ、シリンジといったデバイスでは、患者の快適性を高めるため、非硬化性の膜を器具表面に潤滑剤として付着させます。