
市販のCIP洗浄剤には次のような種類があります。:
- 水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、界面活性剤を主成分とするアルカリ性CPI洗浄剤
- 無機酸と界面活性剤を主成分とする酸性CIP洗浄剤
- 次亜塩素酸ナトリウム、活性塩素、界面活性剤を主成分とするアルカリ性CIP消毒剤
- 過酢酸、過酸化水素、界面活性剤を主成分とする酸性CIP消毒剤
- 極性溶媒と無極性溶媒
シール材料選定に際して考慮すべき原因
CIP工程において最大限のシール性能を確保し、早期故障を防ぐには、下記の要因を考慮する必要があります。:
- 洗浄剤と濯ぎ液への曝露時間
- CIP液の温度
- CIP成分の濃度
- CIP洗浄剤の流速
- 機器やシステムの衛生設計
試験実証

CIP やSIPを実施する場合、適切なシール材の選定は難しく、 規格だけで判断することはできません。 規格は、一般的な情報を提供し、エラストマー材料のいくつかのグループについて 規格への適合の条件を示すだけです。 このため、トレルボルグ シーリング ソリューションズは、独自の試験を実施することで、特定用途に対する最適のシール材料を提案しています
材料のCIP 、SIP洗浄剤との化学適合試験
トレルボルグ シーリング ソリューションズは、包括的な調査を実施し、 一般的な各種CIP 液や溶媒に対する材料の性能を評価しました。 通常では、CIPに続き最高150°C(302°F)の過熱蒸気による殺菌を行うため、この条件での試験も実施しています。
最も重要な物性は次の通りです。:
- 体積変化
- 重量変化
- 破断伸びの変化
- 引張強度の変化
- 硬度変化
試験結果に基づく推奨事項
予想していたように、強力なCIP 液や高温によって、いくつかのエラストマーは性能限界に達しました。 しかし、基礎ポリマーが同一であっても、材料が異なれば結果が大きく異なることも判明しました。 これにより、CIPとSIP環境で最高の性能を発揮するシール材料を設計することが可能になりました。
まとめ:
- EPDM
EPDM材E7502、E7518 、E8502は大部分のCIP洗浄剤と過熱蒸気に対して優れた結果を示しました。 また、試験の結果、これらのグレードは、アセトンやメチルエチルケトン (MEK)など腐食性の強い極性溶媒に使用できることが実証されました。EPDMは無極性であるため、 高脂肪の食品や数種の食品用潤滑剤にはお勧めできません。
EPDM の詳細
- FKM
標準的なFKM V8605は、活性酸素と無極性溶媒を含む酸性液に対しては 高い性能を示す反面、蒸気への曝露時間を制限する必要があります。 最高級FKM材V8T41は最高170°Cの蒸気への曝露に耐え、 さらに全ての洗浄液への耐性も高くなります。 この材料のシール製品は標準 FKM材シール製品より長寿命です。 どちらも極性の強いコンパウンドであり、脂肪食品、化粧品、油脂、潤滑剤に使用できます。
FKM の詳細
- レジフロー™ 500
レジフロー™ 500は、独自のポリマー構造を持ち、極性液、無極性液、 すべてのCIP洗浄剤、過熱蒸気に使用可能です。 さらにMEK、トルエン、アセトンなどの溶媒中でも優れた物性を示しました。 レジフロー™ 500は、EPDMと高フッ素FKMの特徴を併せ持つため、混合プロセスストリームに最適です。
レジフロー™ 500 の詳細
- イソラスト
イソラスト FFKM はすべての試験条件下で最高性能を示し、最高240℃(464°F)の蒸気に 耐えることも実証されました。つまり、イソラスト は、最も過酷な使用条件下で、 例えば生産ライン停止が許されないような用途に最適です。
イソラスト の詳細
- ターコン®
ターコン® PTFE シール材料は、ほぼ完全な化学薬品適合性を持ち、高温や蒸気中でも使用できるため CIPとSIP洗浄での使用に最適です。ターコン® MFシリーズは、サニタリー環境用に開発された材料で、 ほぼすべての主要規格に適合します。 ターコン® の詳細
CIP と SIP 試験結果
下表は、トレルボルグ シーリング ソリューションズの材料ラインナップの各試験条件での概略性能を示します。
特定用途に間する推奨製品に関しては、お近くの当社営業所までお問い合わせください。
適切な材料選択で長寿命化を実現
標準的な浸漬試験では、特定の液体に対する材料の適合性について詳細な情報が得られますが シール材料の寿命を予測するには適していません。 トレルボルグ シーリング ソリューションズは独自に 、温度範囲、化学薬品濃度、浸漬時間を広げた試験を展開しています。
最初の試験では、様々なFKM材料を2点の異なる温度で試験しました。 低温では、全コンパウンドが優秀な物性を示しましたが、高温で試験を行うことにより それぞれの材料物性の違いが明らかになりました。 第2の試験では、CIP洗浄剤の濃度を1%から 2%まで上げました。 同じように、より厳しい条件で材料物性の差異が明らかになりました。
トレルボルグ シーリング ソリューションズは、上記のような、より詳細な試験を通じ 下記のソリューションを提供できるようになりました。
- 長寿命
- メンテナンス費を最低限に抑制
- シールの交換頻度を低減